【2025年版】自費出版後の国会図書館納本は必要?手続き方法と代償金申請を完全解説

はじめに

自費出版で本を作ったけれど、「国立国会図書館への納本って必要なの?」「手続きが難しそう…」と不安に感じていませんか?

実は、自費出版でも一定の条件を満たせば納本義務が発生します。しかし、正しい手順さえ知っていれば、手続きは決して難しくありません。

この記事では、初めて自費出版を行う方に向けて、国立国会図書館への納本制度の基本から具体的な手続き方法、さらには代償金の申請まで、実務に即した情報を詳しく解説します。


国立国会図書館の納本制度とは?

納本制度の目的

国立国会図書館への納本は、国立国会図書館法に基づく制度です。国内で発行されたすべての出版物を国の文化的資産として保存し、後世に伝えることを目的としています。

納本された資料は全国書誌データに登録され、国立国会図書館サーチ(NDL SEARCH)で検索可能となり、広く国民に利用されます。

自費出版も納本義務の対象になる?

結論:一定条件を満たせば対象になります。

納本義務があるのは「出版物の発行者」です。著作者ではなく、奥付に発行者として記載されている方が対象となります。

自費出版の場合、以下の条件に該当すれば納本義務が発生します:

  • 頒布目的で相当部数(通常100部以上)を作成している
  • 書店流通やネット販売など、一般に頒布している

個人の自費出版物や社史・団体史であっても、上記の条件を満たせば納本対象です。ISBNコードやJANコードの有無は関係ありません。

納本義務がない出版物

以下の場合は納本の必要がありません:

  • ホチキス留めなど簡易綴じのもの
  • 頒布部数が100部未満の私家版・同人誌
  • 広く公開することに支障があるもの(機密扱い等)
  • 書式・ひな形など簡易なもの(手帳、カレンダー、家計簿等)
  • 内容が同一の単純な刷り重ね

納本の期限と罰則について

納本期限

発行日から30日以内に納本することが義務付けられています。

ただし、30日を過ぎてしまった場合でも納入は可能です。未納入に気づいた時点で速やかに手続きを行いましょう。

未納入の場合の罰則

正当な理由なく納本を怠った場合、出版物の小売価格の5倍に相当する金額以下の過料に処せられる可能性があります。


納本の2つの方法:無償と有償

国立国会図書館への納本には、大きく分けて2つの方法があります。

1. 取次会社・出版社による代行納本

書店流通に乗せている場合、取次会社や出版社が代行して納本手続きを行うのが一般的です。自費出版サービスを利用している場合は、担当者に確認してみましょう。

2. 個人で直接納本

取次を通さない個人出版の場合は、自分で国立国会図書館に送付または持参します。

この際、無償での納入(寄贈)有償での納入(代償金申請)のどちらかを選択できます。


無償での納本(寄贈)の手順

頒布部数が100部未満の自分史や同人誌など、少部数の自費出版物の場合は、無償での寄贈が最も簡単な方法です。

手続きの流れ

1. 事前手続き

事前の連絡や予約は不要です。

2. 納入する部数と品質

  • 部数: 納入義務は1部ですが、2部納入すると東京本館と関西館(京都)の両方で所蔵されます
  • 品質: 乱丁・落丁・傷・汚れがなく、書き込みやサインのない「最良版の完全なもの」を納入してください

3. 送付方法

郵送・宅配便の場合

  • 送料: 発行者負担(元払い)。着払いは受け付けられません
  • 宛先:
〒100-8924
東京都千代田区永田町1-10-1
国立国会図書館 収集書誌部 国内資料課 収集第二係
  • 受領書の希望: 受領書を希望する場合は、その旨と送付先を記入したメモを同封してください(到着まで数週間かかる場合があります)

直接持参の場合

  • 場所: 国立国会図書館 東京本館 西口から入り、本館西側1階の納本カウンター
  • 受付時間: 月~金 9:00~17:45(祝日・年末年始を除く)

有償での納本(代償金申請)の手順

頒布目的で相当部数(100部以上)を発行した出版物の場合、納入出版物代償金を申請できます。通常、小売価格の5割+送料が支払われます。

代償金の対象となる基準

  • 一般の自費出版物: 100部以上刊行していること
  • オンデマンド出版物: 頒布(販売)実績が15部以上あること

申請手続き(事前連絡必須)

重要: 有償納入を希望する場合は、出版物を送付する前に必ず事前連絡が必要です。

STEP1: 条件の確認

以下を満たしているか確認します:

  • 発行者であること
  • 簡易な出版物に該当しないこと
  • 発行部数/販売実績が基準を満たしていること

STEP2: 国立国会図書館へ連絡

メール、電話、またはFAXで以下の情報を連絡します:

【必須情報】

  • 申請内容(「出版物の代償金希望」または「送料のみ希望」)
  • 出版物のタイトル
  • 出版物奥付に記載の発行者名
  • 出版物の価格
  • 発行部数
  • オンデマンド出版の場合は販売済み部数
  • 発行形態(自費出版、調査資料、オンデマンド出版など)

連絡先:

国立国会図書館 収集書誌部 国内資料課 収集第三係
電話: 03-3581-2331(内線24630)
受付時間: 月~金 9:00~17:45(祝日・年末年始を除く)

STEP3: 担当者からの連絡待ち

国立国会図書館で情報確認後、数日以内に担当者から連絡があります。申請条件を満たしていると確認できた場合、出版物納入書等の書式が送付されます。

STEP4: 納入

  • 納入する出版物と記入済みの出版物納入書を同封
  • 以下の宛先に送付:
〒100-8924
東京都千代田区永田町1-10-1
国立国会図書館 収集書誌部 国内資料課 収集第三係

注意: 電子メールでの申請はできません。


納本に関する問い合わせ先

手続きに不明点がある場合は、事前に問い合わせることをお勧めします。

担当窓口内線番号問い合わせ内容
収集第一係24611納本手続き全般
収集第二係24622無償での納本(寄贈)
収集第三係24630有償での納本(代償金)

代表電話: 03-3581-2331
受付時間: 月~金 9:00~17:45(祝日・年末年始を除く)


納本後の利用と保存

永久保存と利用

納本された出版物は、国民共有の文化的資産として、保管に適した環境の書庫で可能な限り永く保存されます。

書誌データの公開

納本後、約1か月程度で書誌データが「全国書誌」に収録され、国立国会図書館オンラインや国立国会図書館サーチ(NDL SEARCH)で検索可能になります。

ただし、資料の状況によっては数ヶ月かかる場合もあります。

利用方法

  • 館内閲覧: 原則満18歳以上が対象
  • 図書館間貸出サービス: 全国の図書館を通じて利用可能
  • 複写サービス: 著作権法の範囲内で有償複写が可能

館外への貸し出しはできません。


まとめ:自費出版本を後世に残すために

国立国会図書館への納本は、あなたの作品を国の文化的資産として永く保存し、未来の読者に届けるための重要な手続きです。

納本のポイント:

  • 頒布目的で100部以上発行した場合は納本義務がある
  • 無償(寄贈)と有償(代償金申請)の2つの方法がある
  • 有償納入を希望する場合は事前連絡が必須
  • 納本期限は発行日から30日以内だが、過ぎても納入可能

手続きは決して難しくありません。この記事を参考に、ぜひ納本手続きを進めてください。


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    ※この記事の情報は2025年10月時点のものです。最新の情報は国立国会図書館の公式サイトでご確認ください。