自費出版と商業出版の違いを知り、あなたの目的に合った出版方法を選ぼう

起業家のみなさまにとって、出版は知名度を上げ、ビジネスを飛躍させる大きなチャンスです。書籍の出版は、インターネットラジオやSNS(Instagram、X、Tiktok、YouTubeなど)での露出を増やし、自分の商品やサービスの販路を広げるきっかけにもなります。この「出版」には「自費出版」「商業出版」という2つの方法があり、それぞれに特徴があることをご存じでしょうか?

この記事では、それらの違いを詳しく解説し、どちらの方法があなたの目的に合っているかを検討するための情報を提供します。

自費出版とは

自費出版とは、著者自身が出版に関するすべての費用を負担し、自分の意思に基づいて本を出版する方法です。この方法には自由度とスピードという大きなメリットがありますが、同時にリスクも伴います。

・内容の自由度
自費出版では、出版社の意向に縛られることなく、自分のメッセージやストーリーをそのまま表現できます。あなたらしい感性や独自のビジネス哲学を反映した内容を発信しやすいでしょう。
また、書籍のデザインや印刷冊数、販売価格まで自分で決められます。

・スピード
商業出版の場合には、企画・内容・デザインなどすべてにおいて、出版社の判断が必要になるため、その時間がかかります。自費出版はその手続きが少ないため、素早く出版できる可能性が高いです。

・費用負担
出版に必要な費用は全額自己負担となります。原稿執筆から編集、デザイン、印刷、流通までにかかる費用は大きな金額になることもあります。
例えば、表紙や本文のフォントや構成のデザインなど、自分の好みにすることはできますが、内容によりとても高額になる場合があり、注意が必要です。

・マーケティングの負担
自費出版では、書店への流通あり・なしを著者が選択することができます。「書店への流通あり」を選ぶことで、あなたの本を町の書店に並べることができる権利を得ることができますが、実際に本屋に並ぶかどうかは書店が決めることなので、必ず本屋に並ぶとはいえません。そのため、書籍を世に広めるためのプロモーション活動も著者自身が行う必要があります。販促計画を練り、SNSやイベントで宣伝するスキルも求められます。

商業出版とは

商業出版は、出版社がすべての出版費用を負担して市場に流通させる方法です。出版社が背後にいることで信頼度が増し、出版物としてのステータスも高まります。
ただし、誰もが商業出版できるわけではなく、出版社から選ばれなければ商業出版することができません
商業出版のきっかけは

「企画書を作成し、出版社に読んでもらう」
「出版社から声がかかる」


がほとんどです。

・ブランディング効果
商業出版物は出版社のネームバリューを得られるため、読者やビジネス関係者の間での信頼度が向上します。

・費用負担なし
著者は出版にかかる費用を支払う必要がほとんどなく、金銭的負担を心配せずに本を出せます。

・マーケティングサポート
出版社がプロモーション活動をサポートし、流通網やプレスリリースを利用して広く宣伝してくれる場合があります。これは出版社によります。

・出版のハードルが高い
出版社の企画会議を通過し、採用されるためには市場性やテーマの明確さが求められます。
選考が厳しく、出版が決まるまでに時間がかかる場合も多いです。
最近は出版サポートや出版塾などに通って、商業出版を目指す方もいます。その場合はサポート費用や受講費用などがかかります。

・内容に制約
出版社の方針や編集の意向により、原稿の内容に手直しを求められることがあります。
商業出版の場合には、出版社が「売れる」と判断する企画・内容が求められるため、自分が本当に書きたい内容が書けない場合もあります

自費出版と商業出版の違い

そのほかの違いを表にまとめてみました。

大きな違いとして著者収入があります。商業出版の場合には、出版社から著者へ著作権使用料、いわゆる印税が支払われます。自費出版では、印税ではなく、売上還付金が支払われます。
印税は本の定価の数%、売上還付金は定価の数10%と違いがあるのは、著書の作成費用をだれが負担しているのかの違いがあるからです。商業出版の場合、著書の作成費用は出版社が負担していますから、その分、著者にお渡しする金額は少なくなります。
ちなみに、この収入は書店流通させた場合の収入です。もし書店流通させずに、著者自ら手売りをした場合には、著書の売上から著書の購入費を差し引いた残りが収入になります。

自分の目的に応じた選択

それでは、自分の目的に応じてどちらの方法を選ぶべきでしょうか?
ここでは、出版を考えている皆さんが検討すべきポイントをまとめました。

自費出版は、ストーリー性や専門知識を活かし、自分のブランドを最大限に表現できます。一方で、商業出版は出版社の信用と宣伝力を利用して、広範なメディア露出を狙うことができます。多くの人に認知されたい場合、商業出版が有利でしょう。

商業出版の方がステータスが高いとされることが多く、特にビジネスの信用性を上げたい場合は商業出版が有利です。出版を通じて、ビジネスの専門家としての地位を確立しやすくなります。

商業出版は、出版社にとって「売れる本かどうか」が基準となります。内容、文体、章構成、タイトル(小見出し含む)、表紙など、著者の希望は出せますが、あくまで決定権は出版社にあります。そのため、タイトルや表紙が、「自分の思い通りではなかった」ということもしばしば起こります。
自分の思う通りの本を出したいと思うのであれば、自費出版の方が実現しやすいかもしれません。

自費出版に必要な費用を支出できるかを確認しましょう。
基本的に、自費出版を決める前に見積書を作成し検討しますが、その後追加費用がかかる場合もあります。

自費出版の場合、自らがマーケティングを行うため、その時間やスキルがあるかを考慮しましょう。
ただし、商業出版であったとしても、本を売るのは「著者の責任」です。自費出版と同じく本を売るための時間やスキルが必要になることを覚悟してください。

まとめ

自費出版と商業出版は、それぞれに異なる特徴と利点があります。どちらが優れているというわけではなく、自分の目指すゴールに合わせて選ぶことが重要です。
例えば、商業出版を目指すために、1冊目は自費出版をする、という方法もあります。
出版を通じて、あなたの夢を実現し、ビジネスをさらなる高みへと引き上げましょう。